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脆く危うい中学生のお話/「午後の光線」ネタバレ感想

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「午後の光線」感想のサムネイル

先日、ダークでメリバなおすすめBL作品5選をご紹介しました!

これ以外にもまだ私が出会ったことのないダークな良作はなかろうか、とRenta!を徘徊しておりましたところ、きました

それが「午後の光線」です!

私はよくシーモアRenta!を利用しています。どちらも私の閲覧履歴や購入履歴を元に「おすすめ」をピックアップしてくれるのですが、この点においてはRenta!に軍配が上がっています!

今回もRenta!におすすめされたこの「午後の光線」は、出会えてよかったと思えるすばらしい作品でした。

では、ネタバレありの感想をつづっていきます!

あらすじ

”痛み”を介し、熱を帯びた彼らの鮮烈な物語。

母親と、その恋人が取り巻く家庭環境に苦悩する淀井。
トラウマにより、グロテスクなものに性的興奮を覚えてしまう村瀬。
ある日、村瀬が苛烈ないじめに遭っているのを目撃した淀井は、激昂し止めに入る。
それをきっかけに交友をはじめたふたりは、お互いの持つ”痛み”を知り、関係を深めていく。
ふたりのほの暗い青春に、光は差すのか――。

KADOKAWA

無理すぎた……。つらすぎた……。

心に暗い影を落とすトラウマ、自己犠牲、歪んだ想い。中学生を主人公にするには重すぎる内容でした。

だけど、どうしようもない不条理なことは大人の世界だけの話じゃなく、子どもの世界にも確かに存在します。

この2人が出会えて良かった、でも同時に出会わなければ良かったと思ってしまうような、そんなどうしようもなく切なく苦しくも愛に溢れたお話です。

ちなみにジャンルは「青年マンガ」だそうです。

以下、ネタバレ注意です!

目次

午後の光線 カップリング

どっちが攻めでどっちが受けなのかいまいちよくわからない描き方がされていますが、おそらくこうかと思います。

村瀬淀井
良いとこの子
いじめられっ子
吃音症あり
トラウマあり
母子家庭、ネグレクト
オープンマインド
自己犠牲型
トラウマあり

淀井くんの設定がこの時点で不幸そのものなのよ……

やっぱり子どもの健康的なメンタルの育成には、温かい家庭が必要だと思う。それは母子とか父子は関係なく、親が子どものことを適切に愛しているかどうか、その愛を伝えているかどうか。

淀井くんに比べて、村瀬くんの家庭は暖かい感じなんだけど、村瀬くん本人の性格が周りと馴染むことを得意としていないために、またカエルの解剖の授業で勃起してしまうというとんでも性癖がバレてしまったがために、いじめの対象になっちゃうんだよね。

その性癖もとあるトラウマがきっかけで乗り越えようと治療してるんだけど、それを知った淀井くんが村瀬くんの力になりたいと思って2人の距離が近づいていきます。

午後の光線 見どころ

南寝先生の独特な絵柄が物語に深みをもたらせてくれる「午後の光線」は、主人公たちだけでなく彼らに関わる周りの人たちの存在がストーリーの要のひとつとなっています。また、淀井くん村瀬くんの中学生らしい心の機微が、読み手の気持ちをより一層物語に引き込みます。

ピュアで一生懸命で脆くて危うい。そんな主人公2人の物語は号泣必須です。

シリアスなんだけどクスッと笑えるところもあって、ほんとに大好きな作品になりました。

まぁ、重いけどな?

淀井くんの自己犠牲型の愛で村瀬くんを救えるか?

あるトラウマにより、グロテスクなものに性的興奮を覚えてしまう村瀬くん。

そもそもこのトラウマが性的興奮の対象になる現象ですが、これは一種の心の防衛反応じゃないかなって思います。ひどく傷ついたり、不安や恐怖に襲われた心を守るために、違う感情で上書きしてるんじゃないのかな。

で、トラウマを別の衝撃で塗り替えるのはどうか、と淀井くんは提案します。そのために、自分が性的興奮の対象になる、と。

淀井くんは意図せずとは言え、いじめのきっかけをつくってしまった本人なので、村瀬くんに対して申し訳ない気持ちもあったのでしょう。

毎日話をして同じ時間を過ごすうちに、村瀬くんのために何かしたいと思ったのです。

村瀬くんも、ただ唯一の友達として、そして恋愛の対象として淀井くんに好意を持ち始めていました。だから淀井くんの申し出は戸惑いもあったけど嬉しかった……。

でも、淀井くんが好意を受け入れてくれるのは淀井くんが自分のことを好きだからではない、ということを自覚すると、淀井くんの優しさにつけ込んでいたことと淀井くんの自己犠牲的な考え方にどうしようもなく悲しくなってしまうのでした。

村瀬くんの純粋な愛が淀井くんを救えるか?

自分も淀井くんのためになにかしたい。そんな気持ちを持ちつつ、まずは自分が淀井くんに好かれるような人間になろうと決意します。だけど、ちょっぴり空回り……。

そんなとき、とある理由で家に帰れない淀井くんと偶然会い、淀井くんのために淀井くんの敵を殺す手伝いをする!とまっすぐな目で宣言します。

傷ついた友達を救いたい。淀井くんのために自分にしかできないことをしたい。ただ純粋に淀井くんのことを大事に思っているんです……。

だけど淀井くんは、村瀬くんがグロテスクなものに興奮することを知っているから、自分の怪我を触らせてあげようとしたり、自分が傷つくことを厭わない節があります。とても危うい……。

パッと見ると淀井くんの方が友達も多くてはっきり自分の意見を言えて心配のいらない子に見えます。一方の村瀬くんは明らかにいじめられているし、話し方もオドオドしていて、大丈夫かな?と心配になります。

でも実際は、親から充分な愛情を受け取っておらず、機能不全家族で育った淀井くんはとても壊れやすく、自分のことを大事にできない子どもなのです。

淀井くんの友達がいい奴!!

誰にでも公平に接する飯田くんと、ちょっとお馬鹿キャラで明るいムードメーカーな柿沼くん。

めちゃくちゃいいお友達。

2人は淀井くんの友達だけど、村瀬くんとも普通に仲良くしてくれます。

学生の頃って、人とちょっと違ったりどこのグループからも孤立してしまっている子に対してはなかなか普通に接することができなかったりしますが、2人ともオープンマインドで良い子たちです。

孤立している子に対して、偏見の目はなく公平に接しているつもりでも、気にかけて声をかけるってハードルが高かったりする。若い頃はとくに、みんな自分のことで頭がいっぱいだしね。

だから作品の中でこういう子達が出てくると、めちゃくちゃ心から感謝するのであります…🙏

あの結末はいったい何が原因だったのか。

疑問がいくつか残る終わり方でした。

淀井くんとの行為は村瀬くんのトラウマ克服に効果があったのか。

村瀬くんはトラウマのせいで睡眠中に寝ゲロをしてしまうことがよくありました。そして実は淀井くんとトラウマ克服のためにエッチなことをし始めてからは、淀井くんの名前を呼びながら寝ゲロをしていたのです。

トラウマの克服って、多分真っ直ぐな一本道じゃないから、これもただの途中経過の出来事だったんだろうけど、隣で寝てる淀井くんからすれば「自分のせいで新たなトラウマが植え付けられたんじゃないか」と不安になってしまいます。

〇〇くんの死について

一応どっちが誰なのかは伏せます!

「不慮の事故」って、一体なんだったのでしょう。

〇〇くんは、自分が□□くんの一生の心の傷になることを望んでいる節がありました。だけど、両想いになって気持ちを伝え合って、あんなに幸せそうだったのに……。

交通事故となっていますが、彼の別れの直前の話からするとどうしてもね。でも引っ越すことも決まっていたから、別れが来るっていうのは本人もわかってたわけで、ただそれを寂しがっていただけのようにも見える。

邪推かなぁ。

邪推であってほしい。でも亡くなってしまったことはどっちにしても悲しすぎる。。。

さいごに

何回読んでも同じとこで泣いてしまうぅ。

はぁ〜〜〜。ほんとに悲しいです。メリバっていうかバッドエンドだよなと思いつつ…。淀井くんのお母さんと彼氏がクソのままだったらこの結末は逆にハピエンだったんじゃなかろうか。

南寝先生の作品は他に、コミックDAYSで読める「燃えたい心」という読み切りがあります!これがまた…なんなのこれ、となる作品(グッと重くて複雑な感情になるやつ)で、最後まで読んで「ちょ、もう1回読も。」ってなります。

ぜひぜひ読んでみてください〜🎵

はぁ、重かった!でもボロボロに泣いてちょっとスッキリ。またいい感じのメリバ作品に出会えますように🎵

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