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【ネタバレあり】オメガ・メガエラ/家督争いと裏切りの愛憎劇/丸木戸マキ【感想】

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あらすじ

優れた性とされるα(アルファ)が支配する世界。

αを産む宿命を背負うΩ(オメガ)の人生は、αの子供を持てるか否かにかかっていた――。

財閥一家である婚家・英(はなぶさ)家で子を生せず疎まれていたΩ・犀門(さいもん)は、一人のΩの少年をαと偽り、英家当主の座を狙わせるのだが…!?

性別による身分社会で最下層の、Ωたちの闘いが始まる…!

講談社

丸木戸マキ先生の長編泥沼愛憎劇BL「オメガ・メガエラ」がついに完結し、先日ファン待望の「特別編」が配信されました!

これを機に、私至上もっとも心臓がバクバクし続けたとんでも展開連発の「オメガ・メガエラ」をご紹介いたします。

BL好きだけどBLコミックスにありがちなストーリー展開にはちょっとマンネリを感じ始めている…というそこのあなた!

オメガバースという設定をこれでもかというくらいストーリーに生かしている唯一無二のBL「オメガ・メガエラ」、読んでみませんか?絶対に後悔はさせません!(BLといいつつジャンルは女性マンガだそうです)

この下は単行本版3巻までのネタバレが含まれてしまっているためご注意ください!

目次

オメガ・メガエラのストーリー

オメガバースの設定では、男女の他にα・β・Ωという3つ(合計6つ)の性別があります。αは優秀で優遇され、Ωは発情期があるため冷遇される世界観であることが多いです。

オメガ・メガエラの世界では、αとΩの格差が非常に大きなことが特徴です。そしてこの格差こそがストーリー全体に緊張感をもたらせる役割を担っています。

捨てられた隠し子Ωがαのフリをして英財閥の家督争いへ挑む

この世界でオメガとして生を受けると、子どもを産むために嫁ぐしかまっとうな道はありません。一定の年齢になるまでに子どもを産まなければ「特別労働所」に送られます。

一夫多妻制度が採用されており、夫がαの場合はαの子どもができるまでΩの妻を娶り続け、妻の待遇は産んだ子どもの性別によって変わります。

しかし、産んだ子どもがΩであっても、産んだだけマシといえるでしょう。子どもを産めない場合が最も悲惨です。「メガエラ」と俗称をつけられ、家を追い出されることもあるのです。この世にある「人権」など皆無……。

そんな世界で、子どもを産めなかった主人公の犀門(さいもん)は、英財閥次期当主・英征十郎の第三夫人として生きていました。

あるとき、現当主の善治郎に「昔、融資と引き換えに手籠にした当時13歳の美少女が出産した儂の子どもを探せ」と命じられます。(ドン引き)

善治郎は息子の妻である犀門や玲鴎(れお)、使用人にも手を出しまくりのクズジジイです。そのクズじーさんが「子どもがもしαだったらお前の子どもとして育てろ。そして家督を継がせろ」というのです。

英家の孫代にはすでに次々期当主として育てられた麗子という女性αがいます。しかし、善治郎は女系ではなく男系のαに継がせたい意思があったため、隠し子にも可能性を見出そうとしたのでした。とことん差別的……。

そして探し当てた子ども・馬宮(まみや)は…….男のオメガでした。

没落した華族で生まれた馬宮は、父親(善治郎)もおらず戸籍もありませんでした。そのため、Ωの証であるうなじの焼印がありません。

それに目をつけた犀門は、「英家のαとしての人生が欲しくないか?」と問いかけます。

αのフリをしていても訪れる発情期…目の前には英家のαが!

紆余曲折あり、英家の家督争いへ身を捩じ込ませることに成功した馬宮。

頭のキレも良く度胸もあり順応性の高い馬宮は、αと偽っても誰にも疑われることはありませんでした。しかし読者としてはかなりドキドキハラハラします。

なぜなら、ところどころでやっぱりちょっとΩっぽいのです!これは丸木戸マキ先生の書き分けの画力がなせる技でしょうか。周りのαと比べると、見た目がめちゃくちゃΩっぽい…!!

さて、善治郎の求めていた男のαといっても、次々期当主として育てられた麗子と父・征十郎、母・獅乃は納得がいきません。

そこで善治郎は、麗子が通う高校の生徒会選挙にて、麗子が生徒会長に当選したら麗子を家督に、真宮が麗子を落選させたら真宮を家督にすると宣言します。

初めて学校に通うことになった真宮にとって、学校にファンクラブもあるような麗子を落選させるのは至難の業です。

さて、結果はどうなるのでしょうか。

真宮は普段、犀門が開発した抑制剤(違法薬物)を使用して発情期を凌いでいます。毎日決まった時間に、1粒の服薬。

通常αは、病気になりにくい優れた肉体を持って生まれます。麗子は、真宮がいつも何かの薬を飲んでいることに気づき、彼が抱える病気か何かについて探ろうとしました。

そしてとうとう、麗子による薬の入れ替えで意図せず真宮は学校内で発情し始めてしまいます。目の前には英家のα・伊織が!!

ここまではただの序章だった件…

αとΩをめぐるこの国のカースト制度、英家の複雑な家督争い、個性豊かで魅力的なキャラクターたち。

これだけでも「オメガ・メガエラ」に入り込んでしまうには十分だと思います!めちゃくちゃ面白い!!

オメガの待遇は目を背けたくなるほど非道なことばかりで心苦しいシーンもたくさんあるのですが、ストーリーとしてはドキドキハラハラして読む手が止められません。

しかし、この3巻まではただの序章でした……。

英家最大の秘密…それは物語を根底から覆してしまう

4巻では麗子と真宮の熾烈な家督争奪選挙戦が繰り広げられ、決着がつきます!

そして英家の跡取りが善治郎によって宣言されたあと、とんでもない秘密が明らかにされます。ここからは本当に物語が一変してしまうのでネタバレはしませんが、かなり衝撃的な展開です!

この秘密によって、真宮と犀門、そして英家の人々の人生は大きな渦にのまれ、いろんな人を巻き込みながら後戻りができないところまで泥沼にはまっていくのでした……。

続きはもう読むしかないですわよ奥様!!

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オメガ・メガエラのちょっと好きなところ

昼ドラの様な泥沼ストーリーというだけで、暇を持て余した私の様なグータラ主婦にはもってこいな作品なわけですが、ちょっとした「イイねポイント」が要所に散りばめられていることでよりハマってしまうのだなと思いました。

犀門の母性と真宮の気遣い

犀門は子どもの産めないメガエラとして蔑まれている男性オメガです。

魂の番(つがい)である征十郎を愛し、征十郎の第一夫人に返り咲くために真宮を利用していると言えます。

しかし真宮の体調を気遣ったり、真宮の心に寄り添うなど、心根のやさしい人物であることも伺えます。真宮のことを大切に思っていることが色々な描写から読み取れるので、ただ利用しているだけじゃないというのが救いです。

また真宮の方も、犀門が征十郎のことになると周りが見えなくなるダメなところを受け入れたり、犀門がお坊ちゃんであることで騙されないように守ろうとしたり、そして元気のない犀門を気遣ったりと大切に思っていることが伝わる場面が数々あります。

この2人の関係性が、損得だけではなくちゃんと絆があると感じさせてくれるので良いなと思いました。

オメガたちの名前の共通点

「”馬宮”っていう名前はどうもオメガくさいよな」

というわけで、英家では”真宮”として生きていくと決めたのですが、オメガくさい名前というのが私にはいまいちよくわかりませんでした。

BL作品では男でも女でもいけそうな名前がよく使われている気がします。そのため漢字を変えても読み方が同じなら同じというか…どちらかというと伊織の方がオメガっぽいとBL脳の私は思っていました。

それでよくよく他の人の名前も見てみると…

犀、馬、鹿、獅、鷹、鴎、亀……!オメガの人全員動物が入っている!!(上の英家一族の画像をチェックしてみて!)

おもしろい〜!!

BL好きにとっては新しい風!女のαがカッコイイ!

オメガバースといえばBL、BLといえば男だらけ。

いくら6つの性別があるといっても、BL作品に出てくるのは男のαと男のΩ、そして当て馬的役割の女のΩだけです。

しかしオメガ・メガエラは講談社ITAN掲載の女性マンガ!ボーイズたちのラブがメインではないのです!

女性αの麗子がめちゃくちゃかっこいい…!髪が長いので見た目は女性ですが、中身がかなり男前です!

物語が進むにつれ、叔父やある組織のリーダーの女性αも出てきて見た目や言葉遣いが新鮮でとても興味深いですよ🎵

さいごに

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「オメガ・メガエラ」の世界では、オメガが性別を偽ると銃殺刑になったり、子どもが産めないと特別労働所送りになったり、オメガとして生まれるだけでとんでもなく非人道的な扱いを受けます。

読み進める中で辛くて先を読むのが苦しくなることもあるでしょう(私はありました

それでも最後まで読むことを諦めないでください!ネタバレはしないけど、これだけは言えます!読んで後悔はさせません

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