紙書籍
東原涼の何もかもが気に入らない。Domのくせに底辺ヅラしているところも、俺に何をされても屈しないあの目も――。
高瀬春彦は体が大きく、威圧的な見た目に反して第二の性はSub。
KADOKAWA
そんな自分を受け入れられず、Domらしくないクラスメイトの東原に突っかかっていた。
しかし抑制剤の過剰摂取で体調不良に陥った高瀬をプレイで助けてくれたのは当の東原だった。
映画が好きという趣味と、お互い第二の性を受け入れられない共通点から
一気に距離を縮め、高瀬は東原に支配されたいと思うようになり――。
え〜ちょっと待ってちょっと待って??この作品なんでそんなに有名じゃないの!?めっちゃグッと来たんですけどー!
この作品はDom/Subユニバースが好きだから見つけたってだけで、そうじゃなかったら見つけられてなかったかも!
まだまだBL好きとして私は新参者だし、有名作品とかちょうどセールをしてる作品から読んだりしてるんだけど、「アンチ・アイデンティティ」はレビュー数も少ないし、見つけたの本当に偶然!
見つけて良かった!本当に幸せ!!
この下はちょっとネタバレが含まれてしまっているためご注意ください!
アンチ・アイデンティティ カップリング
Sub 不良・高瀬春彦 | Dom 映画部・東原涼 |
大型ワンコ ヤンキー | いじめっ子クール 儚い | いじめられっ子
高校のクラスのカースト上位×カースト下位のカップリングです。陽キャ×陰キャとも言えるのかな〜あまり好きな言い方ではないけど…。
とにかく、Dom/Sub属性が見た目とは正反対になっているところ、そして一般的なDom×SubカップリングではなくSub×Domカップリングであることが興味深いです!
でも私としては大きい方が受けになるのも大好きなのでそのままDom×Subでも良かったかな〜
なんせ、一見大人しそうな東原くんがDomっていうのがもう一番の沼ポイント……。
いやまて、自分がSubであることを本気で嫌悪してる高瀬くんがプレイで大人しく従っちゃうところが一番の沼p…いや!
それより高瀬くんが自分の属性を受け入れて大型ワンコに転身するところがもうかわいくてかわいくて一番のn(略)
アンチ・アイデンティティ ジャンル
第二の性を受け入れられないDom/Subユニバース |
学生、いじめ、シネマティック |
全体的に物理的にも雰囲気的にも線の細い作画で、視線とか間がいい味を出しています。
また、Subの東原くんが地味な雰囲気の割に人の目を惹きつける魅力があって、彼の目がとってもイイ。セリフにはない感情を語ってくれます。
東原くんは映画好きで映画部の一員なのですが、実は高瀬くんも映画が好きで将来は映画制作に携わりたいと考えています。
高瀬くんが東原くんをカメラ越しに捉えるところがエッモーーーです。
「アンチ・アイデンティティ」をおすすめしたい人
大型ワンコ攻めが好きな人
クール美人受けが好きな人
隠れた名作をチェックしたい人
良かったところ
アンチ・アイデンティティの良かったところ、それはとにかく設定!設定が私の好みど真ん中でした!
Dom/SubでSubがカースト上位、Domがカースト下位。最高。
カースト上位のSubがカースト下位のDomにやさしく命令されて大人しく従ってしまうところとかもう…エロくないのにエロさを感じます…なぜ??
カースト上位の高瀬くんは普段ツンツンしてるのに、支配されることにゾクゾクしちゃうところとかイイんですよ…。
でも、高瀬くんがツンツンしてたり東原くんを目の敵にしてるのにも理由があって、ただのいじめっ子じゃないんだよね。
自分がSubであることを受け入れられない苦しみ、DomのくせにDomらしくない東原くんへの苛立ち、そしてそんな東原くんにどうしても目が行ってしまう矛盾。
思春期の男子にとっては心がグチャグチャになっちゃう複雑な状況です。
東原くんにとっても自分がDomであることは受け入れたくない現実。Subにいじめられたところでなんとも感じない強いメンタルを持ってはいるものの、Domではなく普通になりたいと願っています。
オメガバースもそうなんですが、第二性と向き合って苦しむ思春期の子どもたちを見ていると本当に辛くなる…(元凶が何をいってるんだw)
でも実際、性同一性障害やマイノリティジェンダーで悩んでいる年頃の子たちはたくさんいるから、あながちファンタジーでの設定というわけでもないよなーと思ったり。
高校生が思い悩んでもがく姿ってなんでこんなにエモいんだろう…。自分にもそういう時代があったからかな?
沢マチコ先生の描く絵がまたこの設定とめちゃくちゃ合ってて切なくて泣けてくるんです…!
いちばん好きなシーン
アンチ・アイデンティティのいちばん好きなシーンは、正直選べない!選べないほどたくさんのシーン、コマが好きです。
でもあえて挙げるなら、東原くんの部屋で2人で映画を見ていて、東原くんがベッドの上、高瀬くんがベッドを背もたれにしている状態で、
高瀬「なぁ…そっち行っていいか」
東原「…いいよ」
のシーンなの!なんでかわかる!?読んだ人には絶対わかる!!!
そのあと「Come」のコマンドを待つ高瀬くんとそれに気づく東原くんの空気感!!これがたまらなくイイぃぃ……!文章じゃ伝わらないから読んでぇ!
アンチ・アイデンティティを読む → シーモア Renta! BookLive
私がDom/Subの好きなところって支配したい/されたい欲求とかプレイそのものがお互いの信頼関係の上に成り立っているところです!
コマンドを待つって「信頼してるよ」って伝えてるってことだし、コマンドを与える方も「何かしてあげたい、甘やかしてあげたい」を行動に移すってことだし、これを無言でやりあうのがもうっっ!好きっっ!
イマイチだったところ
アンチ・アイデンティティのイマイチだったところ…私の意見ではありませんが、レビューにこんなことを書いている人がいました。
「スウィッチの先生が何もしていない」
「ストーリーが早足でくっつくのが早かった」
んーたしかに。と思いました。
高瀬くんと東原くんの仲介役となってくれたスイッチの先生(保健の先生?相談役?)がスイッチ性を発揮していないんです!生徒とプレイしてはいけない決まりがあるとのことで、多分緊急事態のときに対応するとか?
でももったいないなって思いました。先生のスイッチ見たかった。
あとは、1巻(6話)の中で主人公2人がくっつくのが意外と早めでした。私的にはくっついてから社会(この場合は高校という狭い社会)でどう生きていくのかというのが見られてとても良いと思ったのですが、たしかにBL作品って最終話でくっつくことが多いのでイマイチだと思う人もいるのかな?
でも本当に世界観が好きすぎて、続編が欲しい!そういう意味でゆっくりくっついてくれても良かったかも!
「完結」になってないからちょっと期待はしているんだけど…どうなんだろ。
さいごに
紙書籍
はぁ〜〜〜。
またしても好きなDom/Sub作品が増えてしまった…。なんでこんなにDom/Subが刺さるんだろう…。私自身DomにもSubにも共感しまくりなんだよなぁ。
最近、他にもセールだった超良いDom/Subを読んだのでまたその感想も語らせていただきます…!
おすすめのエモいDom/Subがあったら教えてください🎵